映画NANA2の功罪

昨日NANA2を観てきた。

レディースディの17時50分の回だったんで、もっともっと混んでるかと覚悟して入ったんだけども、4割くらいしか埋まっていなかった。ウワサ通り興行的には前作を大幅に下回ってるんだろうなぁ、という印象。

今回のNANA2は、誰しもが思ってることだろうけども、小松奈々(ハチ)役の宮崎あおいが降板し市川由衣に変わってしまった、というのが非常に残念でならなく、もうこれだけで劇場に足を運ぶ気が激減してしまっている人も多いのではなかろうか。

まさにオレもそれで観る気をなくしていたひとりだったんだけども、それでもまぁ観てみない事にはなにもわからないし、もしかしたら市川ハチだってすごく良いかもしれない、ということで、今回観に行ってみたわけだが…。


ハッキリ言って、オレはまったく市川ハチを受け入れられなかった。


もう全編に渡り、これが宮崎あおいだったら…と、終始溜息つきっぱなしで終わってしまった。

今になって思えば、市川ハチだってかなり雰囲気は出ていたと思う。むしろルックスでは宮崎よりも数段ハチっぽかった。ちゃんとカワイイし、ハチ独特の、ああもうどうしよーもねーなコイツ!という、見ていてイライラする感じもよく出せていた。


ただ、市川ハチには、ある重要な部分が欠落してしまっていた。

それは、あーもうこのバカタレは!とどんなにイラつかせられても、まぁでもそんなところもカワイイんだよなぁ…、と思わせるだけの、原作のハチが持つ独特で希有な、甘くてやさしい空気感、だ。


前作の宮崎ハチは、それをしっかりとまとっていたのだ。

だが市川ハチには、それがない。


ハチの持つその空気感は、マンガだからこそ表現できる類のモノなのであり、これを実写で女優が再現するなんてこたぁ到底できっこない、と、前作の制作発表の頃には思ったものだが、それをなんなくやってしまったのが宮崎あおいだったのだ。

宮崎あおいの、他の出演者が皆大根に見えてしまうほどのその天才的な演技力もさることながら、カノジョから匂い立つそのなんともゆるくて甘いオーラは、実写版映画NANAの世界を成り立たせていた最大かつ最重要なファクターであったのだ。


ということに気付かせてくれたコトが、皮肉にも、市川ハチの最大の功績となってしまった。


とは言え、新キャストのシンやレンは前作よりもハマっていると思う(特にシンのカワイイことったら!)し、中島美嘉のナナは相変わらずドンピシャだし、タクミとハチが暮らし始める超高級マンションのセット等、NANAワールドの再現度の素晴らしさは前作にも引けを取らないし、決して映画自体が駄作、というワケではない。

実際、三度ほどホロッときた場面もあったし、脚本は少々荒削りながらも、十分に感動できる映画となっている。


ただ、だからこそ。


やはり、宮崎あおいの降板が、残念で残念で仕方がないのである。